ホタル帰る


先日、一緒に食事をしたHさんオススメの本「ホタル帰る」を読む。


戦時中の特攻隊員と食堂のママさん「トメさん」の交流、
そして、その後を描いた本。
沖縄行きの飛行機の中で一気に読んだ。


様々な特攻隊員のエピソードに触れて色々と考えさせられる。


非常に誤解を受けそうな表現であることを承知で書くと、
特攻隊員にうらやましさを感じた。
(別に戦争や特攻を肯定しているわけではないのであしからず)


特攻した彼らは、周囲の人々を守る、そして、国を守るという
大義を信じて、死を承知で特攻を行った。


その覚悟が非常に眩しく写る。人生の密度が濃い。
死に際としてはむしろ美しいと思う。


自分なりに精一杯日々を生きているものの、彼らに比べると
自分の人生なんてまだまだ覚悟が足りない。
なんていうか、生きている実感が薄い。


この本には、特攻したものの生き延びた人達のエピソードも出てくる。
彼らは自分だけが生き延びたことに罪悪感を抱く。
おそらく、自分も同様の環境に置かれたら同じ思いを抱くだろう。


そんな彼らにトメさんが語った言葉が自分の胸にささった。

「生き残ったということは、残されたということだよ。

神様があんたをこの世に残してくださったということだよ。

残されたということは、何かやることがあるから残されたのだよ。

神様があんたに、やりなさいとおっしゃっている仕事があるはずなんだよ。

世間が何と言おうとも、かまうことはないよ。

あんたには、何かやらなければならない仕事があるはずだよ。

よく考えてごらんなさいな。」


上記の言葉はある意味ありきたりな表現ではあるけど、
「残された」という意味では今の時代に生きる我々も
「残された人達」に当てはまると思う。


これまでの人生に後悔はないが、これからの人生は
生きている実感をもっと強く感じるように生きたいと思う。


色々なことを考えさせられた一冊でした。
紹介頂いたHさんに感謝です。


次に読む本は、同じく一緒に食事をしたIさんオススメの「悼む人」。


読み終えたら、また感想をアップします。